パラグラフ・リーディング(1)
・英語を学習していると必ず耳にする「パラグラフ・リーディング」について,説明していきたいとおもいます。
1.パラグラフ・リーディングとは?
・ある程度学術的な英語の文章には,「どこに何を書くか」についての基本的なスタイル,すなわち書き方の「お作法」があります。この「お作法」は「パラグラフ・ライティング」と呼ばれ,英語で論文を書く場合などには,必ず訓練されるものです。
☞一般に「パラグラフ・リーディング」とは,この英語の文章の「お作法」を逆手にとり,文章を「素早く」読んでいくための方法です。したがって……
「パラグラフ・リーディング」は,「パラグラフ・ライティング」のルールにしたがっていない文章を読む際は,あまり役に立たないことがある
……といえます。
※つまり,「パラグラフ・ライティング」のルールにのっとって書かれていない論説文や「小説」を読む際は,速読のための「パラグラフ・リーディング」をしても,あまり有益とは言えない場合があります。
・このため,「パラグラフ・リーディング」は役に立たない,「もし,パラグラフ・リーディングが役に立たない英文に遭遇したときは,ふつうに読んでいくしかないので,そもそも不要なのでは」といった意見を持つ先生も多いです。
→そしてこの指摘は「もっともなもの」といえます。というのも,「実際の入試の英文は「パラグラフ・ライティング」のルールにしたがっていないものが,かなりある」からです。したがって,「パラグラフ・リーディング」がうまくあてはまる英文に遭遇しないと,「机上の空論」になってしまう可能性があるからです。たしかに,こうした「机上の空論」になる可能性があるものに,勉強時間や解答時間を割くのは,あまり得策とはいえないでしょう。
2.では,パラグラフ・リーディングは不要か?
・上述のように,一般に「パラグラフ・リーディング」とは,単純に「速読・速解」を目的とするものを指していると考えられます。しかし,「パラグラフ・リーディング」には,それだけではない,別な目的,効用もあります。
→それは「正確に読めるようになる」という効用です。むしろ,パラグラフの構造を意識した読みをしないと,「誤読(誤訳)」してしまうことも結構あります。
・また,それほど難しくない,ひねりのない論説文に関する問題であれば,「速読・速解」を目的とするパラグラフ・リーディングをすることで,難なく解けてしまう場合もあります。
☞まとめると,①それほど難しくない,ひねりのない論説文に関する問題をすばやく解く場合には,速読のためのパラグラフ・リーディングを知っていた方が有利で,②学術的な文章,論文,難解な文章を,“すばやく”,“正確に”読解する場合には,パラグラフ・リーディングは必要ということになります。
さらに,「パラグラフ・リーディングの方法」を学ぶ過程で,「英語における論じ方(論証スタイル)」を知ることができますが,これは,英語を読み書きする場合の,ある種の「常識」みたいなものにあたるので,少なくとも「どういう考え方に基づいた方法論なのか?」という点については,知っておいた方がよいと思います。