ひげとらの英語

英語学習のポイントなどをお伝えするブログです。

パラグラフ・リーディング(4)

・続きです。

4.英語の文章での論じ方(論証のパターン)②

・今回は,何か相手に伝えたいことがある場合,それをどのように語っていくのか,すなわち,ある事柄について「論理的」に述べる際の“基本ルール”について説明していきたいと思います。

・「論理的」に述べる技法を説明するときに,よく持ち出されるのがスティーヴン・トゥールミンによる「トゥールミン・モデル」です。このモデルの基本の部分「①主張・②根拠・③論拠」はディベートをする際の基本形態とされ,最低限必要な要素ということで,しばしば説明がなされます。
→かつて東進ハイスクールで講師をされていた横山雅彦氏の提唱する「ロジカル・リーディング」はこれをベースにしているようです。
→また,それ以外の要素として,「④裏付・⑤反証・⑥強度」というものがあり,これら6つのパーツがすべてそろった論理は“プリマファシエ(prima facie)”と呼ばれます。
※“プリマファシエ(prima facie)”は,法律学でも登場し,「一応の推定[証拠]」という不思議な日本語訳がついています。実際の意味するところは,「反証されなければ,事実を証明するのに十分な証拠」という意味です。原則として,原告(訴えを提起した側)は,自らの訴えが正しいことを主張する証拠を提示する必要があります。この場合の証拠のことを“プリマファシエ”と呼びます。被告側の反論によっては,原告の示した証拠は,事実を証明するのに不十分と判断されることもあるので「一応」なのです。

・しかし,実際に英文を読み,問題を解く場合,そこまで詳細に論理分析をしている時間はないので,「基本の3要素」のみを考え,それをパラグラフ・リーディング向けにアレンジしたものを「基本の論理モデル」ということにします(下図参照)。

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・この図に基づいて,英語の論説文に,この基本の論理モデルをあてはめると,英語の文章では,まず“topic sentence”と呼ばれる「読み手に疑問を抱かせるような内容」を含む文を掲げ,その疑問を解消するために,“topic sentence”のサポートとして,「理由+理由の根拠+具体例」が述べられていく,という構造になるということになります。この基本のパターンを頭に入れておくと,英語の文章が読みやすくなってくると思います。

※パラグラフ・リーディング(2)の記事では,“topic sentence”を,①意見を述べる文②含みを持たせた表現になっている文③①と②の両方を含む文,の3つに分類しました。上記のモデルにおける“topic sentence”は,基本的に①か③の“topic sentence”を指すと考えてください(これについては,パラグラフ・リーディング(5)の記事で説明します)。

※理由の根拠とは,理由の信憑性(なぜその理由が信用に値するか)を示す部分のことを指します。それほど学術的・専門的な文章でない場合や,あまりに自明のことすぎて,理由の根拠が不要な場合は,理由の根拠部分は書かれないことも多いです。実際,「ある研究では…」や「研究者たちは…」といったフレーズをつけることで,この理由の根拠部分を示しているものとみなすものが多いです。

 

……続きます。