ひげとらの英語

英語学習のポイントなどをお伝えするブログです。

英作文(基礎編)【1】

1.英作文の一応のゴール=自由英作文

 大学受験生や英語の検定試験を受験される多くの人にとって、英作文学習の一応のゴールは「自由英作文」になると思います。ですが、いきなり自由英作文の問題に取り組むのはほぼ不可能ですね。「何書けばいいの???」、「何から書けば良いの???」って感じになると思います。

 

 とりあえず、大学受験や検定試験の自由英作文は、何らかのテーマが与えられて指定された語数で論理的に英語で文章を書く、といったものになります。そのためには、

  ①論理的な英語の文章の書き方、と

  ②英語での表現力、が必要になってきますね。

 ①については、このブログでは「応用編」で取り扱うことにします。一定のお作法を覚えれば、それ自体はそこまで難しい話ではありません。

 

 問題は②の方ですね。こちらはかなりガッツリと勉強しないといけません。典型的な表現を覚えたり、例文を暗記したりと、結構しんどいです。

 

 で、大学受験生に限って言うと、正直なところ、相当レベルの高い大学を受験して合格する人でも、①と②を兼ねそろえた自由英作文を書ける人はほとんどいません。もうガタガタというか、めちゃくちゃとも言えるようなものでも、合格はできてしまいます。裏を返せば、自由英作文で合否は決まらず、主に読解問題で決まる、ということです。

 

 とはいえ、ノー勉はまずいですから、どうやって勉強していくか、について話していきたいと思います。

 

2.学習の流れ

 基本的な学習の流れは、

  ①典型的な表現を覚える

   ↓

  ②ある程度、典型的な表現を覚えたら、自由英作文の問題にチャレンジ

 ……という感じになります。まあ、とくに真新しいことはないですね。

①典型的な表現を覚える

 何らかのメッセージを英語で伝えるために、英語での言い回しを覚えている必要がありますから、まずは典型的な表現を覚えることからスタートします。

 で、ここで立ちはだかるのが「例文暗記」です。だいたい300~500くらい、例文を暗記する必要がありますが、ぶっちゃけ超絶しんどいんですよね。だいたい、例文集に載っている例文はそれぞれ別個の内容で、ストーリー性は無いことが多いんです。なので、ブツ切りに300例文覚えることになり、これはきっついです。

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 僕はというと、高校時代、とりあえず春休みをつかって、死ぬ気で300覚えました。その後、別な参考書で700覚えました。覚えたといっても、百人一首のように暗唱するというのではなく、あくまでも「日本語を見て、英語にできる」という状態にした感じです。

 で、正直なところ、効果は絶大でした。模試の成績が一気に上がりました。文法問題などでほぼ間違えなくなりました。何が問われているのかが見えてくるようになったんです。

 ただ、無味乾燥な例文300をパワー暗記できる人は良いんですが、そうじゃない人にはお勧めできません。また、僕の場合は、例文暗記の前に、一通り文法知識が入っていたので、結果的に単なるパワー暗記ではなく、理解を伴った暗記になっていたと思います。なので、標準レベルの文法知識が身についていない状態で、ただただ暗記するのはかなり厳しいです。その状態(標準レベルの文法知識が身についてない状態)でも、効果は絶大だと思いますが、挫折率が高すぎると思います。

標準レベルの文法知識が身についている状態とは、『総合英語 Evergreen』(いいずな書店)などのいわゆる文法書を、標準レベルの文法問題集で問題を解きつつ、少なくとも1回は読了している状態を想定しています。文法問題集を併用していなくても、1回通読していれば、標準レベルの文法知識はある程度頭に入っていると考えて良いと思います。文法書もできれば『徹底例解ロイヤル英文法』(旺文社)レベルを通読することが望ましいですが、やはり挫折率が上がるので、一般的には上記のEvergreen等でOKです。

※これは蛇足ですが、個人的には、こういう暗記系は2週間~1ヶ月くらいの短期集中でバーッとやってしまうのがオススメではありますが、時間がある人は1日1文とかで、質問等しながらじっくりやっていくのもアリだと思います。

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 ということで、僕がオススメする学習方法の話をします。例文暗記もやって欲しいんです。効果は絶大ですから。でも、暗記の効率性を考えると「クイズ形式」で学習するべきだと思います。クイズ形式とは「条件英作文問題」や「整序英作文問題」を指します

 つまり、いきなり例文暗記に取りかかるのではなく、まずは穴埋め問題や、語句や語数が指定されている「条件英作文問題」と「整序英作文問題」を解いていくことで、ある程度、典型的な表現や英語で表現するための思考方法を身につけた後、おさらいの意味で、例文暗記をしていくと良いと思います。

 例文暗記については、不要説もありますし、確かに不要な文法単元も無くはないので、僕も一部は暗記しなくてもいいかな、とも思っています。ですが、いわゆる構文集にたくさん載ってくる比較や否定などの文法単元では、基本例文、すなわち、基本パターンを覚えていることが、英作文だけでなく読解にも役立ってきますので、学習の効率を考えても、その手の分野では特に例文暗記すべきだと思います。

 このブログでは、主にかつて早稲田大学の法学部で出題されていた「条件英作文問題」などを通じて、典型的な表現に触れていきたいと思います。

 

 典型的な表現の習得にせよ、例文暗記にせよ、文法単元別にやると、けっこう飽きちゃうんですよね笑。「仮定法」とか「比較」とか「否定」とか、そういう典型表現や慣用表現がやたらと出てくる特定の単元については、どこかでその単元だけ網羅的にやっておかないとダメなんですが、全部を一から単元別にやり始めると、単元ごとの重さが違いすぎることもあって、だいたい途中で飽きて挫折します笑。だいたい最初は「5文型」とか「時制」なんですが、あんまり面白くない上に、「時制」などは奥が深くて、英作文向けに学習するとめちゃくちゃ時間がかかります。

 なので、ランダムに出題される問題を通じて、「へぇ~、こんな風に言うんだね」とか「こんなの思いつかないわ!」とか、そういった感じで、楽しみながら学んでいってもらえるとよいと思います。

 解説の方では、結構細かいところやマニアックなところまで説明しますので、難しく感じたら「ふうん」って感じで流してくださいね。いきなり覚える必要は全然無いです!

②自由英作文の問題にチャレンジ

 ある程度、典型的な表現を覚えてきたら、自由英作文の問題にチャレンジしていきます。このブログでは「応用編」で扱うことにします。

 このときに、気をつけて欲しいのが、できる限り、問題作成者(出題者)が提示している「公式の解答例」がある素材を活用するべき、ということです。

 2019年度から、多くの大学で「模範解答例」が示されるようになりました。これにより、実際の出題者が「どのレベルの解答を期待しているのか?」がわかるようになりました。

 それまでは、赤本などの解答例を参考にするしかなかったのですが、あの解答例は受験生にはあまり参考にはなりませんでした(いや、むしろ良くも悪くも参考程度という感じでしょうか)。というのも、赤本などに記載されている解答例は、「どこかの先生が、いろいろ参考資料を使って調べつつガッツリ時間を使って完璧を目指して作成した解答」であるため、とても受験生試験時間内に作成できるレベルのものとは言えないですし、その意味で出題者の要求の遙かに上をいく解答例だったからです。要するに、現実的な解答ではない、ということですね。単純に間違っているとかもありますが。。。

※当たり前のことですが、受験生は「試験時間という限られた時間内で、与えられた問題についてできる限り解答し、合格点を目指していく」というルールのもとで、解答を作成することになるので、参考資料は使えませんし、時間も無制限ではありません。つまり、赤本などの解答例を作成している先生は、受験生とは違ったルールのもとで、解答を作成しているわけですから、その解答例は、そういう前提で見ないとダメということなのです。

 もちろん、出題者が用意した解答例も、とても受験生が書けるものではないケースもありますが、彼ら出題者の要求している水準は、とりあえずくみ取ることができ、学習の指針に活用できます

 僕がオススメなのは英検2級で出題されている自由英作文の問題とその解答例です。英検協会が提示している解答例は平易な表現をつかって、うまく書いているなあと思います。平易でシンプルなんですが、大学受験生なら、あれくらい書ければ、ほぼ最高レベルといってもいいかなという感じです(実際に見ていただければ、レベル感がわかると思います。そこまでハイレベルではないと感じる人が多いと思います)。是非一度、見てみてください。

 

 次回以降は、実際に問題を解いていくことにします。