ひげとらの英語

英語学習のポイントなどをお伝えするブログです。

パラグラフ・リーディング(9)

・今回から,「パラグラフ・リーディング」と,それに併用する「視点」について,まとめていきたいと思います。

9.パラグラフ・リーディングの役割と設問を解くための視点

・「パラグラフ・リーディング」とは,「ある程度論理的に書かれた英文は,一定のお作法に基づいて,すなわち『パラグラフ・ライティング』のルールに基づいて書かれていることが多い。そのため,『パラグラフのどこに何が書かれるのか』がある程度決まっていることから,それを逆手にとることで『速読』や『正確な読解』が可能になる読解法」のことを言います。

→したがって『パラグラフ・ライティング』のルールに基づいて書かれていない文章を読む場合には,あまりメリットを感じられません。実際,入試問題等では『パラグラフ・ライティング』のルールにしたがっていない文章にしばしば遭遇してしまいます。

・また,「パラグラフ・リーディング」において“topic sentence”とは,「後ろで具体例や詳細な説明,データによる証明などのサポートが必要な語句(controlling idea(s))を含んでいて,実際にその文に対してのサポート部分がある文」のことを指すので,「筆者の主張を含んでいる文」とは限りません

→そのため,仮に「パラグラフ・ライティング」のルールに基づいて書かれている文章だったとしても「『筆者の意見・主張』がどのように導かれるか,論じられるのか」などについての「大きな論理構造(論証のパターン)」についての知識がないと,結局のところ「“topic sentence”や『サポート部分』がどこにあたるかはわかったものの,それがわかっただけで,何が言いたいのかがわからない」といった状況に陥ってしまうことがあります。

・したがって,純粋な意味での「パラグラフ・リーディング」の知識だけでは「不十分」で,およそ論理的な文章を読む場合には(さらに設問を解く場合には)「『筆者の意見・主張』がどのように導かれるか」などについての「大きな論理構造(論証のパターン)」についての知識も必要ということになります。

※この「大きな論理構造(論証のパターン)」についての知識は,「特別な知識」というわけではありません。日本語の文章を読む際,現代文の論説文系の問題を解く際に利用している視点です。

☞つまり,「論理的な英文」を読む場合には,①「日本語,英語問わず,論理的な文章によく見られる思考法,論証のパターンに関する知識」を持っている上で,英語の論理的な文章には一定の書き方のルールがあることから,それを逆手にとった②「パラグラフ・リーディングの知識」があると,「鬼に金棒」だ,というわけです。

 

・日本語の論説文を読む際は「パラグラフ・リーディング」は使えないので,①の知識だけで読んでいくことになります。一方,英語の論説文の場合は,②も使えるので,①+②で読んでいくと,非常に効率的ではないか,という訳です。

→このように言うと,「パラグラフ・リーディング」は「補助的な役割」のように思われてきます。実際には「補助的」という訳では無いのですが,高校生や大学受験生にとっては,そこまで論理的な文章を読んできたわけでもないと思いますし,①の知識もあやふやな人が多いと思いますので,まずは①の知識を確実にする,という意味で「補助的」と考えておくと良いと思います。