パラグラフ・リーディング(2)
・それでは,今回から,パラグラフ・リーディングの手法について,順番に説明していきます。筆者が主に参考にしている文献はつぎの書籍です。
→PROCESS OF PARAGRAPH WRITING (2ND)
・この書籍は,「英語学習者向けの,アメリカ版のパラグラフ・ライティング」を説明・解説している本です。ここに記されている情報をベースとして,その他のパラグラフリーディングに関する書籍も参考にしつつ,読解に役立ちやすく,実用的にアレンジしたものを,説明していきたいと思います。
※念のためですが、1つ1つの文(大文字で始まり、ピリオドや?でおわるもの)は「文(sentense)」といいます。その「文」が複数集まって、全体として意味をなすまとまりとなったものを「文章(passage)」といいます。比喩的に言うと、「文」は「木」で、「文章」は「森」という感じです。それでいくと「単語」は「葉」、「句や文の一部の節」は「枝」みたいなイメージです。つまり、それぞれはそれぞれで意味を持ちますが、全体として見ると違った意味になることもある、というわけですね。
1.パラグラフ(paragraph)とは?
・パラグラフとは,日本語訳すると「段落」となりますが,日本語文の「段落」とはだいぶ異なります。
・日本語の「段落」は,いわゆる「形式段落(改行と1文字字下げすることによって示される段落)」を指し,比較的恣意的に(筆者の都合で)段落分けがなされます。
・一方,英語の段落(パラグラフ)は,topicと呼ばれる「ある1つの考え」について述べられた一連の文章のことをいいます。ふつう,1つのパラグラフは4~8文で構成され,複数のtopicについて述べることはできません。
→複数のtopicを述べる場合は,それぞれのtopicごとに,段落分けをする必要があります。
2.topic sentence(トピック・センテンス)とは?
・パラグラフは,文章の先頭にある第1パラグラフを除き,原則として,topicを導く一般的な文からスタートすることが多いです。この文は“topic sentence”と呼ばれ,“topic sentence”にはそのパラグラフにおける「主要な考え(main idea)」が含まれます。
→このtopic sentenceにより,読み手はそのパラグラフがどのような展開になるのか,予想可能となります。また,特にライティングにおいて,“topic sentence”は,そのパラグラフにおいて,最も一般的・抽象的で,最も重要な文とされるため,筆者はかなり気合いを入れて,カッコいい文を作ろうとするのがふつうです。
・“topic sentence”には,後ろで具体例や詳細な説明,データによる証明などのサポートが必要な語句や考えを含んでおり,この語句のことを“controlling idea(s)”と呼びます。
→うしろの議論の流れ,文章の展開を“コントロール”する語句なので,こう呼ぶようです。
・“topic sentence”は,この“controlling idea(s)”を含むため,通常は,①意見を述べる文,②含みを持たせた表現になっている文,③①と②の両方を含む文,のいずれかになっています。
……続きます。
正誤問題(3)問題
【問】次の英文の下線部には誤っている箇所が1箇所ある。その番号を選び,正しい形に直しなさい。
(1) The great body ①of water ②embracing the continents of the Earth ③are known ④as the world ocean.
(2) In such a ①modern country as Japan, it is surprising to find ②that there ③is so many people ④who can't use the Internet.
(3) Every ①staff member ②in this office ③have a good ④command of English.
(4) Either Tom or John ①are going ②to the party which ③will be held the ④day after tomorrow.
(5) The number of cats ①she has ②have grown since ③she adopted her first cat ④three years ago.
パラグラフ・リーディング(1)
・英語を学習していると必ず耳にする「パラグラフ・リーディング」について,説明していきたいとおもいます。
1.パラグラフ・リーディングとは?
・ある程度学術的な英語の文章には,「どこに何を書くか」についての基本的なスタイル,すなわち書き方の「お作法」があります。この「お作法」は「パラグラフ・ライティング」と呼ばれ,英語で論文を書く場合などには,必ず訓練されるものです。
☞一般に「パラグラフ・リーディング」とは,この英語の文章の「お作法」を逆手にとり,文章を「素早く」読んでいくための方法です。したがって……
「パラグラフ・リーディング」は,「パラグラフ・ライティング」のルールにしたがっていない文章を読む際は,あまり役に立たないことがある
……といえます。
※つまり,「パラグラフ・ライティング」のルールにのっとって書かれていない論説文や「小説」を読む際は,速読のための「パラグラフ・リーディング」をしても,あまり有益とは言えない場合があります。
・このため,「パラグラフ・リーディング」は役に立たない,「もし,パラグラフ・リーディングが役に立たない英文に遭遇したときは,ふつうに読んでいくしかないので,そもそも不要なのでは」といった意見を持つ先生も多いです。
→そしてこの指摘は「もっともなもの」といえます。というのも,「実際の入試の英文は「パラグラフ・ライティング」のルールにしたがっていないものが,かなりある」からです。したがって,「パラグラフ・リーディング」がうまくあてはまる英文に遭遇しないと,「机上の空論」になってしまう可能性があるからです。たしかに,こうした「机上の空論」になる可能性があるものに,勉強時間や解答時間を割くのは,あまり得策とはいえないでしょう。
2.では,パラグラフ・リーディングは不要か?
・上述のように,一般に「パラグラフ・リーディング」とは,単純に「速読・速解」を目的とするものを指していると考えられます。しかし,「パラグラフ・リーディング」には,それだけではない,別な目的,効用もあります。
→それは「正確に読めるようになる」という効用です。むしろ,パラグラフの構造を意識した読みをしないと,「誤読(誤訳)」してしまうことも結構あります。
・また,それほど難しくない,ひねりのない論説文に関する問題であれば,「速読・速解」を目的とするパラグラフ・リーディングをすることで,難なく解けてしまう場合もあります。
☞まとめると,①それほど難しくない,ひねりのない論説文に関する問題をすばやく解く場合には,速読のためのパラグラフ・リーディングを知っていた方が有利で,②学術的な文章,論文,難解な文章を,“すばやく”,“正確に”読解する場合には,パラグラフ・リーディングは必要ということになります。
さらに,「パラグラフ・リーディングの方法」を学ぶ過程で,「英語における論じ方(論証スタイル)」を知ることができますが,これは,英語を読み書きする場合の,ある種の「常識」みたいなものにあたるので,少なくとも「どういう考え方に基づいた方法論なのか?」という点については,知っておいた方がよいと思います。
正誤問題(2)
2.正誤問題を解く際に,意識しておくべきポイント
・正誤問題を得意にするためには,「誤りを見抜く『目』を養う」ことが重要です。そして,その「目」を養っていくには,やみくもに問題を解くのではなく,あらかじめ「狙われやすいポイント」を知っておき,それを意識しながら問題を解いていくことが大切です。
・そこで,最初に,正誤問題でよく狙われるポイントで,ひとまずこれらだけはおさえておいてほしいものを列挙します。これらを意識しながら解いていくと,誤りの箇所を見つけやすくなると思います。
①主語と動詞,もとの名詞とそれを指す代名詞など間に不一致はないか?
[例] 動詞がbe動詞の場合で,主語と動詞が離れた位置にある場合の不一致
×Tom and I am a friend.
☞Tom and I are friends.
※他には,「もとの名詞は複数形なのに,単数の代名詞で受けている場合」,「意味的には複数のように感じるが,everyなどのように単数扱いするものを,複数扱いにしてしまっている場合」などがあります。前者は現場で考えて発見するタイプのものですが,後者はそれに関する文法的な知識がないとわかりません。
②時制に関する誤りはないか?
[例] 主語が3人称単数で,現在形なので,いわゆる「3・単・現のs」が必要
×He go to school every day.
☞He goes to school every day.
※このタイプは①タイプに分類されることもあります。
③進行形にできない動詞を進行形にしていないか?
[例] 状態動詞は原則として進行形にすることができない
×I'm knowing the meaning of the word.
☞I know the meaning of the word.
④可算名詞(数えられる名詞)と不可算名詞(数えられない名詞)の区別
⑤関係代名詞・関係副詞・接続詞の使い分け
☞原則として,関係代名詞の後ろには「不完全文」が,関係副詞・接続詞の後ろは「完全文」がきます。このルールに基づいて判断すれば問題ないのですが,よくある誤解として「『先行詞の種類』で関係代名詞・関係副詞を判断してしまう」というものがあります。
※「先行詞がthe placeなので,後ろにくるのは関係副詞のwhereだ!」といったタイプの誤りです。ちなみに,「不完全文」とは「名詞が抜けてしまっている文」のことをいいます。
⑥語彙問題(用法,語法,類義語の使い分け,単語の組み合わせや相性)
☞語彙に関する問題は,マニアックな問題も多いので,“有名どころ”をおさえておくようにしましょう。深追いしすぎると非常に効率が悪い部分です。
⑦個別の文法事項に関する誤り
☞たとえば,文否定の副詞が文頭にある場合,その後ろは疑問文と同様の語順になっていなければならないところ,そうなっていないようなケースなどです。
[例]
Never I dreamed that such a thing would happen.
☞Never did I dream that such a thing would happen.
「そんなことが起こるなんて,全く夢にも思わなかった」
※これに関しては,正誤問題のなかで学習するというより,ふつうの文法学習,4択や並び替え問題などで,それぞれの事項に関する知識をストックしていく方がよいと思います。
次回以降で,これらの事項について,個別に説明していきたいと思います。
正誤問題(1)
1.正誤問題を学習するにあたって
・正誤問題とは,誤りを含む英文が示され,その誤りの箇所を指摘したり,訂正したりするタイプの問題を言います。
・この形式の問題が出題される大学はそれなりにあるのですが,これをメインに扱う参考書もめぼしいものとしては数冊しかなく,また,参考書等で扱われている問題と,実際に出題される問題にギャップがある場合が多いため,苦手意識を持っている人が多いです。
☞参考書等に載っている問題は「ちゃんと勉強していれば解ける典型問題」がほとんどです。しかし入試では,こうした典型問題よりも「マニアックな内容を問う問題」の方が多く出題されたりするのです。
実際のところ,「合格点をとる」という観点からすると,「みんなが解ける問題が解ければよく,みんなが解けない問題は解けなくてよい」ため,そうしたマニア向け問題はできなくてよいのです。なので,その精神で臨めばよいのですが,いざ過去問をやると比較的高確率でマニア向け問題に遭遇し,全然わからず(赤本の解答すら間違っていることも多いです),先ほどの精神は葬り去られ,勝手に玉砕してしまうというケースが多いように思えます。
・したがって正誤問題に関しては,参考書に載っているような基本的なポイントを狙ってくる問題を確実に正解できれば,正誤問題部分全体の正答率は気にしなくてもかまわない,と考えるようにしてください。
そして,勉強する際(特に過去問を演習する場合)も,「こんなの知らないよ!」と叫びたくなるようなマニア度の高い問題や,やたらと難易度の高い問題は深追いせず,さっさと間違えて,さらっと解説を読む程度にすることをおすすめします。
次回からは,正誤問題で狙われやすい点を説明していきます。